第325話ねむれない

 僕は布団に入る。


 寝つきが悪いから、考えごとをする。


 部屋の灯りを消して、一日のできごとを振り返る。


 学校ではいつも通りの日常だった。


 登校中にあくびをして。


 先生の授業を聞きながらあくびをして。


 お昼の弁当を食べてからあくびをして。


 帰るころにはあくびをして。


 ……あれ?


 なんかおかしいな?


 僕はずーっとあくびをしている。


 なのになんで眠れないの?


 それはきっと、君のせいだ。


 明日大事な話があるからと、放課後待っていてほしいと言われた。


 もじもじと身体をよじる君の姿が、鮮明に思い出される。


 なんの話だろう。


 これはでも、ひょっとして、つまりはそういうこと……。


 考えるほどに目が冴える。


 天井を見上げて願うことは、これが夢オチでないこと、ただそれだけだ。

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