第322話じゃあ今度、お弁当持っていくね

 不思議なカードを手に入れた。


 いいことをするとポイントが貯まるカードだ。


 貯まったポイントは、カードの表面に数字で表示される。


 そしてポイントを消費すると、いいことが起こる。


 わたしは日常で、いいことをやりまくった。


 早起きして学校の周りを掃除したり。


 家では家事手伝いを積極的に行ったり。


 外では迷子の男の子と交番に行ったり。


 そんな生活を続けていると、たくさんのポイントが貯まった。


 ためしに行列のできるスイーツ店に行ってみると、偶然誰も並んでいなくて、すぐに商品を購入することができた。


 どうやらカードの力は本物だった。


 だけど翌日、サッカー部のあなたは足を怪我して試合に出れなくなった。


 今までの頑張りが水の泡になり、あなたはとてもつらそうに顔を伏せる。


 わたしはそんな姿に見兼ねて、カードもポイントも全部手渡した。


 これを使ってくれれば、なんとかなるだろう。


 その結果、なんとかあなたの足は治り、無事に試合に出場することができた。


 ところが後日わかったことがある。


 あなたはカードを使わずに怪我を治したらしい。


 なんという気合だ……。


 試合が終わった次の日、カードを返してくれたあなたは恥ずかしそうに言う。


「今度の試合、見に来てほしい」


 ポイントがなくても、いいことは起きる。


 本気で誰かを想うとき、奇跡みたいなことが起こるのかもしれない。

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