第315話次の日も同じ場所に座った

 僕は人混みが苦手だ。


 だから日常でも人の多いところを避ける。


 それは学校でも同じこと。


 教室、廊下、体育館。


 ガヤガヤ、ザワザワ。


 いたるところで人を避け、いつも孤独に身を潜めている。


「あ、いたいた」


 そんな昼休みの午後。


 授業が終わると同時に教室を出た僕は、階段の陰になっている場所に座っていた。


 それなのに君は、においでも嗅ぎ分けたように僕の居場所を突き止める。


「僕になんか用?」と聞いてみると、「一緒にお弁当食べよう」と身体を揺らしていた。


 ガヤガヤ、ザワザワ。


 心がザワつく。


 本当は一人がよかったのだけれど、有無を言わさず君は隣に座った。


 楽しそうに昼食するのはなによりだけど、僕はなんか調子を狂わされてしまう。


 だけど不思議なことに、代わり映えしない弁当がおいしく感じたのは気のせいだろうか?


 君は、にぃと笑ってコロッケを頬張る。


 パクパク、モグモグ。

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