第313話休日の部活

 悪天候のため、部活が中止になった。


 日曜の昼前のことだ。


 僕は陸上部に所属しているから、走ることが日課になっていた。


 だけど吹き荒れる風と雨で外に出ることができない。


 そこで、家でやれるトレーニングをはじめることにした。


 だけどなにをすればいいのか?


 腕立て、腹筋、背筋……。


 走ること以外をやってみる。


 一応、汗をかくまでやってみたけど、なんだか虚しくなってきた。


 脚がムズムズする。


 やがてやる気がなくなって、部屋でごろんと横になる。


 そんなとき、陸上部のマネージャーをやっている君から電話が掛かってきた。


 なんの話かと思って通話してみると、部活に関する話だった。


 走りたいだろうけど、危ないから外に出るなという内容だった。


 僕が走りたくてウズウズしているのが、バレバレだった。


 さすがはマネージャーだ。


 それから何でもない雑談をしていたら、いつの間にか時間が過ぎていた。


 走れなくて虚しくなっていた気持ちもどこかに消え、外を見たら雲間から光が覗いていた。


 しばし沈黙を挟み、君は言う。


「グラウンドは無理だけど、校舎の外周なら付き合うよ」と。


 脚がムズムズする。


 そして通話を切った僕は玄関を飛び出し、水溜まりの光るアスファルトを駆けていく。

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