第309話きらきら、ぽちゃん

 雨の日は、なにもせずにじーっとする。


 放課後の学校は静かで。


 僕は中庭のベンチに座って、じーっと空を見上げる。


 ここは屋根があるから傘はいらない。


 ポケットに手をつっこんで、白い息を吐きながら外の世界を眺める。


 嬉しそうに雨粒を弾く木々。


 木琴を叩くように波紋を広げる水溜まり。


 灰色の空をバックに歌うカエル。


 放課後の学校は静かで。


 濡れた世界の声が聞こえる。


 僕は中庭のベンチに座って、じーっと空を見上げる。


 ここは屋根があるから傘はいらない。


 ポケットに手をつっこんで、白い息を吐きながら外の世界を眺める。


 音楽室から聴こえてくる君の声。


 雨粒を弾く木々も、波紋を広げる水溜まりも、灰色の空に歌うカエルも。


 みんな濡れた世界を彩っていく。


 放課後の学校は静かで。


 僕はじーっと耳を澄ます。

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