第305話かたづける

 僕は部屋を片づける。


 散らばった本を棚に戻し、脱ぎ捨てたシャツを壁にかける。


 ほこりを掃除機で吸い、くもった窓を雑巾で拭く。


 せっかく学校が休みでも、動きっぱなしで休んだ気がしない。


 ときおり腰をトントンしながら、背筋を伸ばして作業を再開。


 お昼を過ぎて夕方になり。


 カラスが鳴くころにようやく片づけは終わった。


「おおー」


 部屋が広く見える。


 床が笑っているようにピカピカだ。


 この仕上がりを見てもらいたい。


 僕は、家でゴロゴロしている君を呼び出した。


 玄関に訪れた君は、お菓子を掲げてパーティー気分。


 きれいになった部屋に上がり込むと、僕たち二人は、はしゃいでいた。


 ゲームをしたり、お菓子を食べたり、マンガを読んだり。


 しばらくすると部屋はまた散らかる。


 けっきょく振り出しにもどる。


 でも、君は帰る前に片づけてくれると言った。


 一緒に掃除をしていると、コップに映った君の顔が、ぐにゃっと曲がっておかしくなる。


 笑っている僕を見て、君の顔はピカピカはにかむ。

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