第304話しゅわわわわ

 わたしはコップに飲み物をそそぐ。


 部活が終わってからの学校帰り。


 のどはカラカラだ。


 うがい手洗いを済ませたら、持って帰った炭酸水を部屋に持っていく。


 机の上に、氷の入ったコップを用意する。


 ボトルの蓋をあけて、ゆっくり中身をそそぐ。


 トクトク音がする。


 しゅわーっと弾ける。


 透明な気泡がパチパチと喜ぶ。


「いただきます」


 爽快な刺激が、のどを駆け抜ける。


 飲みながら今日の部活を思い出す。


 男子テニス部と、女子テニス部の合同練習。


 あなたはわたしのラリーにつきあってくれた。


 いつも無口で不愛想なのに、けっこうまじめに教えてくれた。


 そして練習終わりにおごってくれた炭酸水。


 わたしの好みじゃないけど、まぁ、いい。


 わたしは心臓に手を当てる。


 トクトク音がする。


 しゅわーっと弾ける。

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