第302話ぐだー

 こたつから出るのがめんどくさい。


 冬の季節に備え、わたしの家ではこたつを出している。


 一回入ったら出られない。


 気持ちよくて出られない。


 ごろんと寝そべってカタツムリになって。


 動画観ながらぐだーっとしている。


 窓の外は灰色。


 落ち葉がカサカサと音を鳴らしている。


 寒い。


 わたしは一層身を潜める。


 ぜったい出ないぞと固く誓って。


 この空間をひとり占めにする。


「こんにちはー」


 そこへやってきたのは、あなただ。


 学校帰りに遊ぶ約束をしていたから、お菓子を持ってやってきた。


 こたつに入るなり、ぐだーっと骨抜きになっている。


 わたしもつられてぐだーっ、となる。


 窓の外は灰色。


 部屋の中は、ほのかな暖色に染まる。

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