第295話そして僕は継続する

 僕は運動を頑張っている。


 最近ではジョギングしたり、鉄棒で懸垂をするようになった。


 学校では部活もしていないし、帰宅してまったり過ごすことが多かった。


 だから運動不足が気になっていたこともあり、こうして身体を動かすようになる。


 でも、慣れないことをすれば、必ず反動がくるものだ。


 筋肉痛。


 身体のあちこちが痛くなって、ちょっとした動作をするのもキツい。


 鞄を持つのも、廊下を歩くのも、椅子に座るのも、まるで拷問のように感じる。


 正直けっこうツラい。


 でも、この痛みを乗り越えれば一つ上の肉体を手に入れることができる。


 昨日より、一つ成長した自分がそこにある。


 だから今は我慢すべきと、頭ではわかっているつもりだ。


 僕は鞄からチューブ式のプロテインを取り出し、ぎこちない動作でそれを口に近づけた。


「筋肉痛? ちょっと背中見せて」


 そう言ってやってきたのは、サッカー部のマネージャーだ。


 君はスポーツの知識が豊富だから、オススメのマッサージを教えてくれるという。


 試しに肩を軽く押してくれたのだが、あまりにも痛すぎてプロテインが飛び出しそうになった。


 なにかを手に入れる際には痛みを伴う。


 そんなよくいわれる言葉を、今、身をもって体験している。


 そんな放課後だった。

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