第293話集中力が、途切れやすい

 僕は集中力が途切れやすい。


 なにか一つのことをやり続けるというのは、昔から苦手だ。


 たとえば授業。


 先生の話をずっと聞くことが難しい。


 気付けば窓の外をぼーっと眺めていることが多い。


 体育の授業もそうだ。


 サッカーボールを追いかけていたはずなのに、気付けば蟻の行列を眺めていた。


 学校の帰り道。


 家路の進路を外れ、気づけば隣町の電柱の数を数えていた。


 食事のとき。


 口にごはんが入ったまま、台所の水がポタポタ落ちるのをじーっと見つめていた。


 こんな僕の家に君が遊びに来た。


 女の子だけど男子に負けないくらい体力があって、君は活発だ。


 昔から僕とよく遊んでくれるから、なんか一緒にいるのが普通になっている気がする。


 そんな君の顔を、最近ではじーっと見れなくなってしまった。


 これも集中力が途切れやすいせいだろうか?


 こんなとき君は決まって、「熱あるの? 大丈夫?」と顔を覗き込んでくる。

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