第288話そんな方法オレでも知りたい、とツッコまれた

 わたしは500円でなにができるか考えてみる。


 テストが近いのに、勉強そっちのけで考えてみる。


 硬貨を弾いてみて、ふと思った。


 これを飛ばして敵をやっつけたらカッコよくない?


 銃弾に対して硬貨で応戦する的な?


 ……でもダメだ。


 わたしにはそもそも敵がいない。


 他の使い道を考えてみよう。


 買い物するならどうだろう。


 ジュースだったら三、四本。


 駄菓子だったらお腹いっぱい。


 ライトノベルだったら……ちょっと足りない。


 う~ん、買い物以外だったらなにができるだろう。


「そうだ!」


 わたしは思いつく。


 このお金であなたに勉強を教えてもらおう。


 時給500円。


 男子の中で一番成績のいいあなたの家に行ったはいいが、教科書を開いて眠くなる。


 けっきょく眠気という敵を前に、ジュースを飲みながら買ってきた駄菓子を頬張る。


 そしてラノベを読みながら寝そべる。


 するとあなたが呆れたように、ため息をもらした。


「なにしにきたんだよ……」


 …………


 わたしは考える。


 テストでいい点をとる方法を。


 誰か500円で教えてほしい。

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