第286話翌日あなたはお札を持って学校に来た

 わたしは幽体離脱ができるようになった。


 眠っている自分の姿を自分で見るのは不思議な気分だ。


 とにかくこれで空を飛べるようになった。


 普段は見ることのできない視点から世界を見ることができる。


 さっそく夜の街へと飛び出してみた。


「おおー」


 建物をすり抜けて、屋根より高いところから辺りを見渡してみる。


 電信柱の上で熟睡しているネコや、オフィスで残業している人が見える。


 きらびやかなネオンの向こうで、お酒を飲みながら談笑している声が聞こえる。


 わたしが寝ている時間でも、街はとても賑やかだった。


 まるでずっと起きているみたいに。


 活気のある明かりを灯す。


「ん?」


 うちに帰る途中で、あなたの家に寄ってみた。


 霊感が強いあなたは、わたしの気配を察知したのか、ベッドから起きて辺りを見渡す。


 せっかくだから試しに挨拶してみた。


「こんばんは」


 そしたらあなたは気絶した。


 幽霊を見たのは初めてだったのかな?


 まぁいいや、ぐっすり眠ってるようだし。


 わたしもそろそろ眠くなってきた。


 家に帰ってぐっすり眠ろう。


 その後もわたしは、夢の世界で自由に空を飛ぶ。

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