第266話箱の中身は秘密らしい

 わたしは彼氏をつくらない。


 そう誓ったのにはわけがある。


 一年前付き合っていた元カレは、学校で人気者だった。


 そのせいかほかのクラスの女子が寄ってきて、放課後にカラオケ行こうとか、食事に行こうとか言ってくるのだ。


 しかもその申し出に「いいよ」とあなたは答えてしまう。


 浮気をしているわけじゃないけど、わたしにとって気分のいいものではなかった。


 だからあなたと別れて一人になった。


 もう彼氏なんかつくるもんか。


「あ、久しぶり!」


 そんな放課後の帰り道、偶然あなたと遭遇した。


 最初は無視していたけれど、あなたは「待った」とわたしを引き留める。


 そしてこちらを見ながら、よりを戻してほしいと頼まれた。


 自分のせいでイヤな思いをさせたと後悔しているらしい。


 怪しいな……。


 とにかくわたしは無視したが、「明日、公園に来てほしい!」と去り際に言われる。


 帰って部屋で考えたわたしは、とりあえず公園に行ってみることにした。

 

 けれど次の日。


 木の陰から様子を窺っていたらびっくり。


 待ち合わせ場所にやってきたあなたは、別の女の子とどこかに行ってしまったのだ。


 やっぱりなにも変わっていなかった。


 わたしはヤケになり、夜まで遊んでから家に帰る。


 その道中で、あなたと会っていた女の子と遭遇した。


 その女の子は言う。


「強引に連れていっても、あの人あたしの誘いに乗らなくなったのよね……あなた彼女なんでしょ? 公園で待ってるって言ってたわよ?」


 ……どうやらあなたは連れて行かれたあと、誘いを断ったらしい。


 わたしは急いで公園に走る。


 そこにはガス灯の下に佇むあなたの姿があった。


 プレゼントの箱を片手に、こちらに手を振ってくる。

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