第263話詐欺師の夜
僕の職業は詐欺師だ。
5歳のころから人を騙すテクニックを教わり、高校生になった今でも現役で人を騙すことを生業としている。
ウチの家系は義賊だとか聞いたけど、正直それも本当かどうかわからない。
ある日のこと、とある大富豪から大金を巻き上げる計画が持ち上がった。
ターゲットは権力を武器に悪い商売で大金を稼いでいる。
そういったヤツは野放しにできない。
僕は数名のグループを組み、大富豪を嵌めるために動き出した。
「はじめまして」
僕はまず、大富豪の令嬢と接触した。
富裕層が通う私立学生の君は、僕の挨拶に丁寧にお辞儀してくれた。
第一印象は、おとなしいただのお嬢様といった感じ。
私立学生に扮した僕は、それから君と友達になり家の情報を聴き出していく。
その結果、思いのほか早く情報が集まった。
あとはサクっと現金をいただくまでだ。
そして犯行当日。
僕は計画通りに大金を手に入れ、グループは解散となる。
悪徳大富豪は騙されたことを知って発狂していたが、公にできない金を盗まれたことで通報もできず、泣き寝入りした。
その夜、僕は隠れ家で現金を数える。
一つ気がかりがあるとすれば、友達になった君のことだ。
人格者である君は、将来困った人を助けたいと夢を語っていた。
もし君の親が困った人の中に含まれるとしたら、果たして君は手を差し伸べるだろうか?
悪事を働いたとはいえ、親は親だ。
家族である事実は変わらない。
こんなとき君はどうするのか?
人を騙すより、人の心を読むテクニックが知りたい。
そんなことを考えながら、お札の擦れる音が耳に響く――
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