第252話友情アニバーサリー
「なぁ、アニバーサリーしようぜ」
授業が終わり、昼休みに入ってすぐのことだ。
あなたは突然そんなことを言ってきた。
なにそれ?
記念日?
わたしはスマホを操作しながら適当に話を聞く。
「なんか毎日退屈そうじゃん? だからオレたちの友情記念を祝うってのはどう?」
悪いけどわたしはガチャで忙しい。
退屈は一人で消化してね。
そもそも友情記念ってなに?
チラっと視線を上げてみると、あなたはすごく嬉しそうに友情記念を祝うオーラを放ってくる。
なんか面倒くさそう……。
やるまで引かない雰囲気だったので、適当に付き合うことにした。
でも、友情記念とか言ってもたかが数年だ。
中学のときだって同じ学校とはいえクラスは別だったし。
実質三年くらいじゃない?
放課後になってそんな話をすると「なるほどな」と、あなたは納得して頷いていた。
近くにケーキ屋があるから、ロウソク付きで一つ買ってくるという。
お祝いだけにそれらしい形にはなるだろうと考えたらしい。
三年記念ってのも微妙な気がするけど……。
店を出てきたあなたはホールのケーキを大事そうに抱えてきた。
それからわたしたちは近くの公園でケーキの箱を開ける。
そこにはロウソクが二十本くらい立っていた。
「…………」
とりあえず火を点けた様子をスマホで撮影しとく。
あなたは無邪気にケーキを食べていたけど、周りの主婦さんたちのニヤニヤした視線が恥ずかしい……。
バカップルと思われたか……。
ケーキを食べ終えたあと、あなたは最高の記念日だったと満足気だった。
……ちなみにわたしは、今日がどんなガチャよりもインパクトのある一日になったと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます