第236話永遠になくならないお金と、最後の使い道

 わたしは永遠にお金が出てくるサイフを拾った。


 一方であなたも同じサイフを拾って驚いている。


 落とし主は見つからず、最終的にサイフはわたしたちのものになった。


 今日から世界で一番のお金持ちだ。


 二人はこの日から大きな運命を歩むことになる。


 わたしはとにかく私利私欲のためにお金を使った。


 好きなものを食べて、好きな洋服を買って。


 特に恋愛に関してはなにかと我慢していたこともあり、お金で好みの男の子を連れてきて毎日遊びまくった。


 一方であなたは世界一のロケットをつくるためにお金を使う。


 男子ってやっぱり機械とか好きなのかな?


 とにかくそれがあなたの夢だ。


 目標を分かち合える仲間を見つけて前進する。


 それだけじゃない。


 目標の過程で出会った人が困っていたら、惜しげもなくお金を使って助けた。


 たとえ夢が遠回りになっても、それでも助けた。


 そんなときわたしは、舌打ちしながら男の子と遊んでいた――。


 そんなある日、世界が紛争とハイパーインフレの影響でパニックになる。


 お金の価値がなくなり、わたしの元から人がいなくなった。


 一方であなたは世界一のロケットを完成させ、この地球から他の惑星に移住することを決意する。


 もちろん仲間も一緒だ。


 火の海を眺めながら、わたしは遠くで飛び立つロケットを眺める。


 今さらな後悔があるとすれば、あなたの夢を邪魔しないように正直な気持ちを伝えなかったことだ。


 気持ちを紛らわすために遊び呆けた結果がこれ。


 誰もいない丘の上で、わたしはサイフからお札を出して紙飛行機にする。


 どこまでも飛んでいく紙飛行機はやがて灰になり、わたしは愛おしく伸ばした指先で遠い光をなぞる。

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