第221話風紀委員の君が僕に用事を頼む理由
君は風紀委員に所属している。
毎日風紀を乱す者には厳しい指摘を繰り返してきた。
後ろで結った黒髪と凛とした瞳。
女子の間でも恐れられている君が、ある日僕のところにやってきた。
「悪いけど倉庫の片づけをお願いしていいかしら?」
そういえば先生が、学校の裏にある用具を片付けてほしいと言っていた。
君が毎日忙しそうにしているのを見ているから、なかなか断ることができない。
僕は倉庫の片付けを承諾し、君はお礼を述べて教室をあとにした。
――ようやく片付けが終わった僕は、帰り支度を済ませて学校を出る。
久しぶりの重労働で疲れた。
ちょっと寄り道していこう。
いつもなら入らない喫茶店を見つけ、僕は中に入った。
お茶でも飲もうと席に着いたところで、店員さんがメニュー表を持ってやってくる。
そこで店員さんと目が合って固まった。
目の前にいるのは倉庫の片付けを頼んだ君だったからだ。
「なんでここにいるのよ!?」
狼狽える君は、風紀委員の時とまるで違っていた。
ピリついてないというか、髪の毛もさらりと下ろしているから物静かでやさしそう。
先生にバレるとマズイから、このことは黙っておいてほしいと頼まれた。
お茶を飲んだ僕は、足早に喫茶店を出ていく――。
しかし翌日、どこかのタレコミ情報により君は先生からバイトの件を追及された。
僕も呼ばれて先生から追及されたが、そこで覚悟を決めてこう話す。
「あそこに怖い風紀委員はいません」
と。
結局証拠が見つからず、君は解放される。
――が、僕が「怖い」と言ったのを根に持っているようで、それから喫茶店に行っても、君は僕にだけ風紀委員の態度で接客してくるようになる。
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