第210話雨とそうめんと夏バテ
夏休みを前にして、わたしは夏バテしてしまった。
食欲も減退して毎日「そうめん」しか食べていない。
どうしよう、このままじゃあ倒れるかも……。
そんなある日、大雨が降る。
この影響で学校近くの川が氾濫して、流木が大量に押し寄せた。
幸い河川沿いの竹林が防波堤の役割を果たし、学校周辺に大きな被害はなかった。
この出来事をきっかけに、わたしたちは急遽、廃材撤去をすることになった。
「はぁ……はぁ……」
暑い日差しを受けて、クラスのみんなは河川周辺をきれいにしていく。
純粋に体力を消耗する作業なので、夏バテのわたしには地獄だった。
息切れしながら切断した竹を運んでいると、横から誰かが声をかけてきた。
「手伝おうか?」
それは生徒会に所属するあなただった。
わたしは目を合わせず小さく頷く。
前からあなたのことが気になっていたこともあり、こうして距離が近いと言葉が出なくなる。
結局この日はあなたが終始手伝ってくれたおかげで、無事に作業を終わらせることができた。
あなたは隣で爽やかに汗を拭っている。
すごい体力だね。
作業が終わって解散するとき、あなたは生徒会の仕事をしてから帰ると言って教室へと戻っていった――
それから数日後。
わたしの夏バテは解消した。
そのかわりそうめんを食べまくったせいで、もう長いモノを見るのも嫌になる。
そんな中、生徒会で企画したイベントが夏休みの初日に行われることになった。
学校の中庭で、流しそうめんをするとのこと。
この間の流木や竹を利用するらしい。
クラスのみんなは大喜びだ。
これを企画したあなたはぜひわたしに来てほしいと言うが、この企画が水に流れてほしいと切に願ってしまう。
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