第194話クラスのみんなで海へ行く。女子のみんなは水着を選ぶ。

 もうすぐ夏休みだ。


 わたしのクラスはみんなで海へ行こうと計画を立てている。


 中でもどんな水着を着るかという話題で盛り上がった。


 少なからず、男子の目を惹こうとする積極的な女子がいるのは間違いない。


 つまりこの夏に勝負をかける気だ。


 わたしはあなたのほうをちらりと見る。


 どんな水着が好きなんだろう……。


 ――そして夏休みがはじまる。


 カッと目を見開いたような太陽が、白い砂浜を照らしていた。


 海の家から一望できる青い水平線に、クラスのみんなはキラキラと瞳を輝かせた。


 男子も女子も一緒になって波打ち際まで駆け出していく。


 そんな中わたしは一人、海の家で体育座り。


 短パンとTシャツ姿でぼーっとウミネコの声に耳を傾けていた。

 

 実を言うと大勢ではしゃぐのが、わたしは苦手だった。


 せっかくの空気を壊しても悪いので、こうして引きこもることにする。


「泳がないの?」


 すると上から声がした。


 顔を上げるとあなたが両手にかき氷を持っている。


「よかったら食べなよ」


 そう言ってイチゴ味のカップを渡してくれた。


 受け取ったわたしは聞いてみる。「なんでみんなと遊ばないの?」


 するとあなたは「人が多いところは苦手なんだ」と苦笑いをこぼした。


 あくまで人混みが苦手で、クラスのみんなが嫌いなわけじゃない。


 困った体質だなとあなたは頬を掻いた。

 

 ――夕日が沈むころ。


 みんなは宿舎に移動して浜辺からひとけがなくなる。


 わたしは宿に行こうとしたあなたを引き止めて、海へ行こうと誘った。


 そして。


 Tシャツを脱いだわたしを見て、あなたは一瞬止まる。


「ど、どうかな?」


 勝負はまだ終わっていない。

 

 あなたの夕日みたいな顔を見るからに、水着選びは成功したようだ。

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