第185話生産終了のジュースと、未来に託された新商品

 この自動販売機にはお気に入りのジュースが売ってある。


 しかし数日後に生産終了するとの公式情報が流れた。


 涙腺崩壊級のショックだ。


 そのせいで僕は体調を崩し、寝込んだ。


 するとうなされすぎて変な力が発生したのか、僕は未来の世界に飛ばされてしまう。

 

 どうなってるんだよ!?


 元の世界に帰るため、僕は未来の世界をさまよった。


「あれ? あなたはもしかして……」


 そんなとき、どこかで見たことのある顔に出会う。


 同じクラスの君だ。


 かなり大人びた顔つきになっているけど、学生時代の面影が残っている。


 十代のころと変わらぬ顔つきの僕を見て、君は驚いた様子だった。


 笑われるのも覚悟で僕はすべての事情を話してみる。


 すると最初は戸惑っていたものの、「わかった」と頷いて僕に協力してくれることになった。


 いろいろ話を聞いていると、ここが十年後の世界だということがわかる。


 君は大手飲料メーカーに就職したようで、日々業務に追われていた。


 なんでも新商品の開発が上手くいかないらしく、最悪責任をとることも覚悟しているという。


 僕たちは休憩のため公園のベンチに座り、君は未来のジュースを奢ってくれた。


 僕は一口飲んで驚く。


 終売するジュースと味がそっくりだったからだ。


 驚きのショックと共に、僕は時空を飛び越えて現代に戻ったいった――。

 

 ……結局のところ。


 お気に入りのジュースは予定通り終売となる。


 けれど僕は最後の一本を買って保存しておいた。


 それを現代の君に渡してこう言う。


「元祖を再現できれば道は開けるかも!」


 そして。


 それから十年が経った。


 結果は言うまでもない。


 君は大手飲料メーカーに就職し、大きな出世を果たした。

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