第180話一日中、無気力なときってあるよね

 なにもしないで部屋に寝そべってみた。


 外は晴れ。


 風もなし。


 散歩とかしたら気持ちいいかも。


 でもわたしは出ない。


 今日はやる気がないからだ。


 ただぼーっとするのが精一杯。


 一ミリも動きたくない。


 そんな日だってある。


 だからこのままぼーっとする。


「…………」


 沈黙が満たす部屋の中。


 スマホが振動する音でハッとする。


 どうやらあなたから連絡が入ったらしい。


 寝そべったままでスマホの画面を見る。


 これからおもしろいことやるから遊びにこないかという内容だった。


 おもしろいことってなんだろう?


 ぼんやりとした頭でおもしろいことを考えてみる。


「…………」


 三つくらい考えたところで眠くなった。


 外に出る気もないし、せっかくだからこのまま寝よう。


 あなたには悪いけどこんな日だってある。


 おもしろいことよりもぼーっとするほうが今のわたしには重要だから。


「…………」


 深い眠りについてどれくらい時間が経っただろう。


 薄目を開けて時計をチラ見。


 外はすっかり暗くなっていた。


 ぐぐっと背伸びをして首を鳴らす。


 ん? なんか眠ったおかげで身体が軽い。


 なんだろう、今なら全力で走っても一瞬で回復しそうなテンションだ。


 わたしはあなたに連絡する。


 スマホの向こうで眠たそうな声が聞こえる。


 そんなことお構いなしのわたし。


 昼間のノリでこう言った。


「ねぇ、今からわたしのウチ来ない?」

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