第175話ご飯派の僕とパン派の君。~手作り最強説~

 パンかご飯か。


 朝ごはんでどちらを食べるかで、君と僕は議論になった。


 学校の昼休み、じっくりと腰を据えて中庭のベンチで語り合う。


 ちなみに僕はご飯派だ。


 湯気の立ち上る真っ白な白米は、朝の始まりにふさわしい。


 君に意見を聞いてみた。


「真っ白なのはパンだって同じじゃん」


 そう言いながら目を細めている。


 確かに白いのは同じだけど……まぁ、他にもご飯の魅力はある。


 味噌汁を食べるならご飯だ。


 組み合わせを考えるならやっぱりコレだろう。


 そう思って尋ねてみたが、君は「パンだって味噌汁合うし!」と自信満々。


 ……マジか。


 いや、人によったらそうなのかもしれないけど。


 イメージが湧かない僕は、それじゃあ焼き魚はどう?


 と尋ねてみる。


 これこそご飯のパートナー。


 ドヤ顔で隣を見ると、しかし腕を組んだ君がハッキリと言った。


「パンだって魚合うし!」


 ……そっか。


 まぁ、魚はツナとかあるしな。


 その主張はわからないでもない。


 じ、じゃあ漬物はどう?


 日本人のDNAに刻まれた古来よりの味。


 和食の伝統がご飯と出会うとき、舌の上で輝く味覚のサンライズ。


 どうだ!


 これぞ和食でしょ!


 息を切らしながら言い放つ。


 が、君は何事もないような表情で、「パンだって漬物合うし!」


 と言い切った。


 うおぉぉい!


 なんでもおいしいんだな君は!


 僕が肩で息をしていると、君は持参した魔法瓶から味噌汁を注いだ。


 弁当箱からサンドイッチを取り出して僕に差し出し、


「さっき出てきた食材で作ったから」


 そんなことを言った。


 ……僕は手作りの味を噛み締めながら思う。


 うまい。


 スゴイ合う!


 そんな僕を見ながら君は、傍らのおにぎりをニコっと頬張った。

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