第156話資料室に閉じ込められたわたしは、密室ラブコメの予感がする。

 この学校には七不思議がある。


 わたしは授業の課題としてこのテーマを調べることにした。


 だからあなたに協力してもらい、資料室に必要なものを取りに行くことにする。


 ところがここでハプニングが起こった。


 資料室に入った状態で外から鍵が掛かってしまったのだ。


「開かない……」


 あなたはドアを引こうとするがビクともしない。


 わたしも確認したが、本当にドアが動かなかった。


 老朽化のせいだろうか?


 とにかく出る術をなくしたわたしたちは、途方に暮れる。


 ……でも、心の中では少しだけ嬉しくもあった。


 わたしはあなたが好きだったからだ。


 困った人を放ってはおけない、あなたはそんな人だった。


 今回だってそうだ。


 七不思議の一つ、この学校に出る座敷童の噂を調べるためにここへきた。


 重い物を一人で運ぶのは大変だと言って、あなたはいやな顔一つせずにここまでついてきてくれた。


 閉じ込められたのは気の毒だけど、二人っきりになることなんてそうそうあるもんじゃない。


 いっそのことここで想いを打ち明けてしまおうか?


 告白する勇気がなくて言えなかったけど、衝動に駆られたわたしはあなたの目を見つめて息を呑む。


「わ、わ、わたしはあなたのことが――」


 その瞬間、にっこりと笑ったあなたは人差し指を唇に立てる。


「その勇気があれば大丈夫だね」


 そう言って煙のように消えてしまった。


 ……あれ?


 そして入れ替わるように、もう一人のあなたが扉を開けて入ってきた。


 あなたによると鍵は掛かっていなかったようで、教室に戻ってこないわたしが心配で来てくれたという。


 じゃあさっきまでのあなたは一体……。

 

 不思議な体験により、わたしはしばらく放心していた――


 ―――――


 ――この学校には座敷童がいる。

 

 困った生徒を助けては、今もどこかで微笑んでいるのかもしれない。

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