第150話果物コーナーで見つけた桃からイケメンが出てきました

 わたしは母親から買い物を頼まれた。


 桃を買わないといけないのだが、遠くのスーパーに行くのが面倒で近場で済ますことにした。


 行ったことのない店舗だったけど、まぁいいや。


 ここで買ってしまおう。


 ところが果物コーナーに入ってびっくり。


 バランスボールくらい大きな桃が売ってあった。


「……」


 明らかに怪しいが、これ以外の桃は売っていなくて悩む。


 でも他の店に行くのは面倒だし、値段も安かったので購入することにした。


 しかしここからが驚きの連続だった。


 家に帰ると桃が割れて中からとびきりのイケメンが出てきた。


 歳は高校生のわたしと同じくらいかな?


 あなたは凛々しい瞳でこちらを見る。


 生みの親と勘違いしたのか「お母さん!」と呼んできた。


 こら、わたしはまだ学生だぞ。


 とにかくお父さんの服を着せてから、ちゃんと話を聞くことにする。


 あなたは倒すべき相手がいるらしく、これから仲間を集めるらしい。


 そして次の日、あなたは新たなイケメンを三人連れて来た。

 

 うっ、鼻血が出そう……。


 それぞれの名前に「猿」「雉」「犬」が入っているあたり、完全に桃t……いや、なんでもない。


 そして翌朝には鬼を倒すと言って、繁華街のライブハウス「オーガ」に出掛けていった。


 へ? どういうこと?


 ――結論を言えばあなたは鬼を倒した。


 フリースタイルの鬼と呼ばれたこの街のナンバーワンに。


 つまり四人でラップバトルを挑んだのだ。


 なぜかわたしは「お母さんやったよ!」と言われながら四人に胴上げされる。


 ぐふゅ、は、鼻血が……ッ!


 そして翌週、再びわたしは買い物を頼まれた。


 スーパーで炊き込みご飯の具材を探していたのだが、光るタケノコを見つけてしまい、買うべきか迷っている。

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