第126話黙りこくるあなたは図書室でひたすら萌えを受け流
毎日放課後になると、あなたは図書室にやってくる。
いつもわたしのとなりに座るのになぜかこちらに気付いていない。
わたしを無視しているのかとも思ったが、本に集中しているだけのようにも見える。
まさか、このあいだ告白したのが原因で、わざとわたしから距離をおこうとしているのか?
それにしてはなんか不自然だ。
わたしはとなりからそっと声をかけてみる。
が、あなたは活字を目で追うのに必死でリアクションを返してくれない。
気になったわたしは、あなたが好きそうなシチュエーションで振り向かせようと試みる。
……萌え死にしてもしらないからな。
まずはええと……椅子をギリギリまでくっつけてとなりで本を読んでみる。
身体がほぼ触れ合う距離間。
あなたの吐息が一定のリズムで聞こえてくる。
チラリと横目を向けてみた。
うっ……。
静かにページをめくる横顔に、逆にこっちがドキドキしてしまった。
……ダメだ。
作戦を変更して今度は窓際に移動して本を読む。
髪をサラリと払って深窓の令嬢をアピール。
だけどあなたは一向にこっちを振り向かない。
……なんで?
なんか頭にきて、ついにわたしは声を上げた。
「なんとか言ってよ!」
そしたらあなたはパタンと本を閉じてわたしの両肩を掴んだ。
真剣な瞳でわたしを見つめ、
「どの本にも解答がのっていない!」
という。
あなたは「告白の返答の仕方」がわからず、恋愛関係の本を読み漁って答えを見つけようとしていたようだ。
わたしは呆れてため息が漏れる。
わたしはあなたを椅子に座らせて、そのとなりに着席した。
二人は斜陽に照らされながら、静かにページをめくる。
告白の返答なんて、自分のタイミングで好きにしてくれたらいい。
そんな不器用すぎるあなたが、なんかいい。
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