第108話祭りをしていた天才アイドルが、授業で怪奇殺人を推理した
わたしは授業中に、この街で起こっている怪奇殺人のことを推理する。
両耳を切り落とす怪奇殺人。
数日後に行われる祭りで、犯人はまた人を殺すらしい。
――話は変わるが、わたしは変わった経歴を持っている。
普段は女子高生だが、本業はアイドルだ。
しかも天才アイドル。
この職業に就く前、自分のオリジナルソングを試しに動画でUPしたところ、それを聴いた人は戦意を失うという謎の出来事が起こった。
どうやらわたしは特殊な声を持っているみたいだ。
ウソかホントか、この歌が暴動や紛争を鎮静化したという噂まで広まり、わたしは一本の動画で巨万の富を得た。
しかし声を研究する謎の組織から尾行されることがイヤになり、わたしはお金の力でフツウの暮らしとアイドルの職を手に入れた。
だけど一息つく間もない。
怪奇殺人とか勘弁だ。
ここは爆速で天才アイドルが解決してやる。
――そして祭りの日。
街は賑やかになり、あちこちで神輿を担ぐ威勢のいい声が響いた。
その中で身を潜めるように周囲を警戒していると、ナイフを持ったあなたが現れた。
あなたとは同じクラスの同級生だ。
わたしのもとへ歩みより、あなたはいきなり自分の正体を喋りはじめた。
なんでも、元・謎の組織だという。
一瞬「なんだそれ?」と思った。
あなたはさらに、わたしのファンということも強く宣言する。
わたしの声を独り占めするために同じファンを殺害していたのだと言う。
ってあなたが犯人かよ。
そんなことを思っていると、わたしに刃物を向けて突進してくる。
わたしはすかさず、戦意を喪失する歌声を響かせた。
しかも用意した拡声器を使った爆音で。
響いた歌声は、あなたを無力化させるだけでなく、祭りの参加者まで無力化させてしまった。
……やばい。
その後あなたは逮捕されたけど、祭りは台無しになってしまった。
まぁ、これが文字通りの後の祭り。
って、シャレにならないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます