第99話99人の小人と100人目の勇者

 僕の家に99人の小人が住み着いた。


 身体の大きさは手のひらに乗るサイズで、それが部屋の至るところに散見できる。


 まるで小さなキノコが動いているようにも見えるが、この小人たちは僕にしか見えない。


 その証拠に家庭やクラスのみんなには、まったく気付かれることはなかった。


 小人たちは僕を助けるためにやってきたという。


 実を言うと、僕はトラブルに巻き込まれやすい体質だ。


 だからピンチのときには小人がすかさずやってきて、トラブルから守ってくれた。


 この間もマンションから落ちてきた花瓶から僕を庇ってくれたし。


 ただし危険を回避するごとに小人は一人消えてしまう。


 一日一回トラブルが起きて、それが98日続いた。


 最後の小人があることに気付く。


 一連のトラブルは、僕の好きな女の子が原因らしい。


 その女の子の前世は魔女らしく、惚れた男を呪い殺してしまうのだとか。


 どうやら女の子は自分の力に気付いており、友達を作ることを避けていたという。


 だけど僕に好意をいだいたことで、このようなトラブルが起こるようになった。


 この話を聞いたあと、ついに99人目の小人が落雷の犠牲になって消えてしまう。


 悩んだ末に僕は、女の子の想いに応えることを決意する。


 この呪いに終止符を打つことにした。


 怯える女の子の前で、その小さな手を握る。


 そして――……


 僕は、小人サイズの隕石が直撃して死んでしまった。


 ――百年後。


 生まれ変わった僕は100人目の小人となり、君の生まれ変わりに会いに行く。


 呪いのないこの世界で、僕はその小さな手に、触れる。

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