第97話僕はロボットで、君は人間で
僕の正体は宇宙から来たロボットだ。
こうして学校に行ったり友達と遊んだり、傍から見ればフツウの男子高校生にしか見えないだろう。
けど、この骨格や中身は特殊な人工皮膚や金属で作られた未来科学の結晶体。
壊れてしまったら、もう、替えはきかない。
そんな僕に寿命が迫る。
君と過ごす学校生活もあと僅かだ。
最期の日までに何か想い出がほしいと思いつき、君をとある無人島に誘ってみることにする。
夏休みに入ったら、早速一緒に行くことになった。
――そして迎えた当日。
この無人島は僕が地球にやってきた時、宇宙船を隠した場所だ。
島と同化する形で洞窟のあたりに隠してあるのだけれど、その宇宙船に僕のホストコンピュータが置いてある。
僕の想い出を送信して記録していることを思い出し、この際に消しておこうと考えた。
――しかし、ここであろうことか寿命が尽きる。
黒歴史を消してほしいと君に伝えようとするが、それも叶わず、身体は完全に停止した……――。
あれから八十年の時が過ぎた。
君は科学者になったあと、宇宙船から僕のデータを吸い上げてそれを研究していたらしい。
元の身体を復元することはできなかったみたいだけど、代わりに脳に干渉するデバイスを開発し、死後も意識の中で交流できるシステムを実現させた。
その意識の空間で、僕は高校生の時の君と再会する。
「わたしへの愛が重すぎるよ」
と言われたときは、黒歴史を覗かれた恥ずかしさでどうにかなりそうだったけれど、そんな僕を見て、君はあの日と変わらない様子で笑っているのだった。
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