第96話無人島で知った真実と再会までの日々
この夏休みは海に行きたい。
どうせならあなたと二人きりで。
もっと言えば無人島で流れ星を観ながら一夜を過ごす的な?
そんな偏ったロマンを妄想していると、
「無人島へ行こう」
とあなたは誘ってきた。
あれ、これは夢かな?
当日やってきたのは本当の無人島だった。
白い砂浜に背の高いヤシの木。
そして島の奥にはジャングルが広がっている。
到着早々あなたはおかしなことを言い出した。
「僕に万一のことがあったら島の奥を目指して」と。
よくわからず頭を捻っていると、突然あなたは倒れて心臓が止まってしまった。
パニックになったわたしは放心状態になったあと、一人で泣いた。
――しかし、帰る方法もわからないわたしは島の奥を目指すことを決意する。
途中、物騒な植物や蔦より長い蛇に襲われながらも、なんとか薄暗い洞窟へと辿り着いた。
中から呻くような音が聞こえる。
わたしは恐る恐る目を凝らしながら奥へと進んだ。
道中であなたとの楽しかった思い出が浮かんでまた泣けてきた。
さらに進むと広いフロアに出て、近未来的な空間が広がっていた。
中央にはモニターがあり、そこにあなたの顔が映し出され、こちらに語り掛けてくる。
死んだあなたはAIロボだったらしく、この島のホストコンピュータから遠隔操作していたらしい。
わたしとの想い出もこの島に全部記録されているらしいが、もう寿命で島ごと電源が落ちるという。
わたしはモニター越しに最期の別れをして、結局泣いた。
――それから十年。
科学者になったわたしはこの島で研究を続けている。
バックアップを復元させて、いつかわたしの脳の中で二人は再会する。
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