第60話ある日ギャルが空を飛んでいました

 なんかよくわかんないけど、あたし空飛べるようになったみたい。


 イミわかんないし。


 なんとなくできるかな~って想像してたら、できるようになった。


 これってヤバくない?


 学校とか一瞬で行けるし、メイクに時間食ってもヨユーじゃん。


 あ、でもパンツ見えるから押さえとかないと。


 とりあえず三階の窓から教室に入ってみるし。


 そしたらびっくりして先生が倒れた。


 ヤバみが深い。


 なんか数人の生徒が、保健室に運んでいったし。


 ま、授業は自習になったからラッキーってことで。


 みんな口を開けてこっちを見てるけど、これって注目されてる?


 やばー、なんかアイドルみたいじゃんウエーイ♪


 んで、休み時間になると周りから質問攻めにされた。


「ねぇねぇそれどんな手品?」とか「なに食べたらそんなふうになるの?」とか。


 とにかくいっぱい質問された。


 あたしは唇に指を添えて「う~ん……」と天井を見上げるけど、どうやって飛べたのかさっぱりわからなかった。


 だけどなんとなく、あたしの身体からヤバいパワーが出てるカンジがする。


 試しにみんなで手を繋いでみた。


 このクラスは全員で三十人くらい。


 その生徒が輪になる。


 よし。


 あたしの合図でみんなジャンプね!


 3……2……1――


 あたしたちは跳ぶ。


 そしてそのまま宙に浮いて、ガチで空を飛んでいた。


 周りを見ると、みんなフワフワ浮かんでる。

 

 コレやばくない?


 そうだ! あたしいいコト思いついたんだけど!


 せっかくだから映えることをやることにした。


 ――――


 放課後になって、あたしたちは改めて手を繋ぐ。


 全員で一列になって、空を飛んで下校してみる。


 ギャルを中心に人が飛んでるから、見ている人が全員こっちに注目する。


 その光景はあっという間に世の中に広がって、その日の夜にはニュースになった。


 あたしは色んな意味で飛んでいるギャルとして有名になる。


 すごい人気者じゃん!


 人生で初めてサインとか書いたし、これってなんかアイドルみたい。


 ガチでヤバいし!


 ってコトでぇ、君も手ぇ繋ぐ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る