第45話消えたラブレター
最悪なことに君へ宛てたラブレターを紛失してしまった。
そこには一カ月かけて書き上げた僕の想いが詰まっている。
今時、手紙というのも味があっていいかなと思っていたのだけど、まさか失くしてしまうなんて……。
誰かに拾われたら大変だ!
その日からラブレターを探す日々が始まった。
自室はもちろん、学校の机の中や通学路まで慎重に視線を巡らせた。
他人に拾われることを恐れながら、早くも数日が経過する。
これだけ探しても見つからないとなると、風に飛ばされたか犬が咥えて持って行ったのか……。
つまりはもう、見つからない。
そんな気がして僕は肩を落とす……。
――それから二年が過ぎて、僕は大学生になった。
結局君に告白することも出来ずに卒業して、それからは一回も会っていない。
今ごろ何してるんだろう?
ま、元気ならそれでいいか。
そんなことを思いながら本屋に寄る。
最近、巷ではとある小説がブームになっているのだが、僕も呼んでみようと一冊手に取ってみた。
そこで衝撃が走る。
この小説……僕が書いたラブレター(300ページ)と同じだ!
しかも、作者が君だというオチまでついている。
……口から泡を吹くかと思った。
あとがきによると、君は道で拾った小説(ラブレター)を賞に応募してしまい、新人賞を受賞してしまったのだとか。
まさかこんなことになるとは思っていなかったらしく、罪悪感から作者に会って謝りたいらしい。
僕はしばらく考えた後、本に記載された連絡先に電話する。
――そして数日後。
君から届いた謝罪文(300ページ)は、冒険小説風にアレンジが効いており、別の意味でハラハラさせる展開だ。
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