第27話電話ボックスで起きた不思議な話

 とある雨の日、僕は学校の帰り道で急用を思い出した。

 

 それは学園祭にまつわる内容だが、どうにかして学校に連絡しないといけない。


 だけどスマホを家に忘れたため、連絡手段がない。


 どうしよう……。


 そんな時、道端の電話ボックスが目につく。


 使ったことはないが、なんでもカードやお金を入れると電話ができるらしい。


 雨に晒されるのもイヤなので、とりあえず中に入ることにした。


 するとボックスに入るなり、電話がかかってきた。


 いきなりだったのでびっくりしながらも、受話器を取るかどうか迷う。


 結局電話には出るのだけれども、その相手がどういうわけか君だった。


 切迫した声で「学校には来ないで!」と言う。


 言葉の意味がわからずに、質問を返そうとしたところで電話は切れた。


 なんだったんだ……?


 気になった僕は学校へと向かう。


 すると周囲は野次馬で囲まれ、グラウンドの隅で屋台が火柱を上げていた。

 

 それを見たとき、僕はハッとなった。


 中古の発電機を起動したまま、外に出していたのを思い出す。


 この雨の中、漏電して出火したのだろう。


 屋台の中で仮眠をとると言っていた君は、はたして無事なのだろうか?


 ――その後。


 屋台は全焼したが、怪我人はいなかった。


 奇妙なことに君はその日、風邪で寝込んで、学校を休んでいたという。


 もちろん僕に電話もかけていないらしい。


 じゃあ、屋台の中で仮眠をとるといっていた君は何者だったんだ?


 それに電話ボックスで聴いた声はいったい……。


 君に確認したところ、一つ確かなことがある。


 どうも君は悪夢の中でうなされたらしい。


 そこで何度も僕を遠ざけたというが、その夢の内容が電話ボックスのくだりに似ていて、思わず背筋がゾッとする。

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