第24話深夜の考えごと

 深夜に私は考える。


 この世界について、平和について、経済や科学の発展について。

 

 ……ウソです。


 あなたのことしか考えていませんでした。スミマセン。


 時刻は午前二時を回った。


 ベッドに仰向けになり、大の字になって天上を見上げる。


 思い浮かぶのはこの世界について、平和について、経済や科学の発展について……ウソです。


 あなたの笑顔しか浮かびませんでした。スミマセン。


 ひと風呂浴びようと浴槽に肩を沈める。


 立ち込める湯気のスクリーンに映るのは、この世界について、平和について、経済や科学の発……ウソです。


 あなたの後ろ姿しか映っていませんでした。スミマセン。


 部屋の電気を消して口元まで布団を被せる。


 真っ暗な空間にありありと浮かんでくるのは、この世界について、平和について、経済や科学の……ウソです。


 あなたが静かに本を読む姿しか浮かんでいませんでした。スミマセン。


 夢の中。


 天地が崩壊した空間の中で、私が対峙するのはこの世界について、平和について、経済や科学……ウソです。


 あなたが手を伸ばしています。「さぁ、一緒にこの世界を救おう!」とか主人公みたいなことを言っています。


 なんだろう、夢なら覚めないで――って思っていたら夢でした。


 手を伸ばした時、窓の外には朝日が射していた。


 学校に行く途中、私はふと考える。


 世界のことも、平和のことも、経済や科学の発展もなにもかも。


 たとえ全てが崩壊してしまっても、やっぱり私はあなたのことしか考えられませんでした。


 スミマセン。

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