第18話アイスクリームと二人
放課後、あなたに誘われてアイスを奢ってもらうことになった。
この間、古文のノートを貸してあげたお礼だという。
寒い季節に食べるアイスもどうかと思ったけど、せっかくなのでお言葉に甘えることにした。
しばらく歩くと公園の近くに小さなアイスショップがある。
人柄のいいお兄さんが一人で経営しているようで、他にはクレープとかも売っていた。
「何にしましょう?」
尋ねられた私は「チョコ」を選び、あなたは「イチゴ」を選ぶ。
二人はアイスのコーンを受け取ると、側のベンチに座った。
と、ここで大きな問題が発生する。
「…………」
長い沈黙。
そういえば私、あなたどころか男子と話したことがあんまりない……。
こういうとき何を話せばいいの?
バリバリとコーンを咀嚼する音が、響く。
どうしよう……考えてるうちに全部食べちゃった。
「おいしかった?」
イチゴ味を舐めながら、あなたが横目で問いかける。
……私、食いしん坊に思われたかな?
黙っていたら余計気まずくなるので、咄嗟に口を衝いて言葉が出た。
「イチゴ味とか食べるって女子っぽいね」
……ダメだ、会話下手すぎる。
するとあなたは「チョコってお子様っぽいよね」と言ってきた。
私が「大人だって食べるでしょ」と返すと「イチゴを食べる男子もいるよ」と言ってくる。
こうして言い合いは続き、気付けば夕方になっていた。
茜色の空を見ながら「話の続きは明日にしよう」と解散になる。
そこで私は口を開いた。
「……明日はクレープがいい」
――次の日。
二人はチョコとイチゴを半分こする。
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