第13話教室で黄昏れていたら遠くからボールが……
人生について考えてみる。
放課後の教室で、私は窓の外を眺めながら一人黄昏れていた。
授業が終わって友達と帰るでもなく、かといって部活に励むこともない。
基本はぼっちの面倒くさがり屋だ。
無気力をモットーに十六年を生きてきた結果、今こうして自らを顧みる。
いわゆる「このままでいいのか?」というヤツだ。
机の上で頬杖をついて、野球部が打ち上げたフライをぽーっと見つめている。
…………
……って、あれ?
ボールの軌道がだんだんこっちに逸れて――
教室の窓に向かって飛んできた。
私は咄嗟に窓を開ける。
ボールはコロコロと転がって、机の下で停止した。
危ない危ない。
もう少しで窓ガラスが粉々になるところだった。
「おーい、大丈夫か~!?」
すると窓の下から声がする。
それは野球部のアイツだ。
下を覗くと、私にボールを投げてくれとジェスチャーしている。
まったく……。
とりあえずボールを手に取る。
狙いを定めて落とそうとしたそのとき、
「そういえば、この間の返事まだ~?」
アイツはそんなことを言った。
言われた途端、また顔が熱くなる。
せっかく人生のことを考えて気を紛らわそうとしてたのに!
むむむ……。
私の懊悩も知らずに、アイツは呑気な笑顔。
はぁ……まったく。
よし、決めた。
私はボールを引っ込める。
私を悩ませた罰だ。
だからボールは落としてやんない。
その代わり、
直接持っていってやるから、ついでに私の言葉も受け取れよっ!
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