第124話 夕焼けに染まる都市
もはや付近に自立している巨大ゴーレムの姿はなく、
深く一息ついて乗騎を反転させ、少し先を見ると
『悲しいね、色々と……』
『あぁ、そうだな』
ざっと視認した偶発的な戦闘に
その中には国産騎の開発で初顔合わせとなり、公国遠征で肩を並べた弓騎士ダ―ヴィと氷結の魔導士アデリナも含まれている事から、過ごした時間の過多で命の重さに差を持たせる気は無くても、
(喪失感には慣れないが… まだだ、
再度、南門と向き合えば都市内外に大型種の残敵がいない事や、自軍の被害状況など確かめていた手勢の騎体は
『損傷した騎体を中心に皆で円陣を組むぞ。構わないな、アインスト殿』
『異論はない、数騎ほど先に市街地へ入れさせて貰うがな』
『取り敢えず、残りは一般兵科の部隊が到着するまで現状維持ですね』
代替騎の首を縦に振らせ、同乗する魔導士エリザの言葉添えには無言の肯定で応じた
東西南北を結ぶ数少ない大通りしか歩めず、路肩に建物の並ぶ環境では満足に武器すら振るえないものの、
『…… 数日前は互いに
『ん~、例え打算的でも、土壇場で手を取り合えるのが人の強さだと思う』
『そう認識していた方が精神衛生上、宜しいかと思います、陛下』
色々と現実的な部分が見えていても、ポジティブ思考は譲らない赤毛の
犬猿の仲と
『女狐殿に協力しているだけの我々が強硬姿勢を貫くのも本末転倒ですし、各陣営の協力体制が暗黙の了解で成されるのは自然なことです』
『ぬぅ、理屈ばかりで頂けない。人々の窮地に敵対していた者達が手を組む、ただそれだけの事に野暮ったい理由付けなど蛇足ではないか』
何やら思うところがあったのか、義娘の発言にゼノスが持論を挟むも… 大破したスヴェルS型二番騎へ向かっていた琴乃の一番騎より、嗚咽を
どう声を掛けるべきか、逡巡している間に幾人かの騎士や魔導士達が
『ッ、出遅れた……』
『クロードは同郷だから、
少し重めの溜息を吐き、視界の端へ映り込んでいた既知の斥候兵に乗騎を頷かせれば、後方部隊を呼び寄せる緑色の信号発煙弾が空に
されども真っ先に到着したのはゼファルス領が誇る
『大丈夫だったか、ニーナ殿?』
「えぇ、身体中痛くて、骨に
やや
その細い背中や、綺麗なダークブラウンの髪に見惚れていた初見の将校が振り向き、
「主命に従い、都市ライフツィヒに突入するので失礼致します」
『
「心得ております、騎士王陛下。うちの御嬢はあれでいて心根が優しい、兵達を死なせて悲しませる訳にいきません。どうですか、御妃にでも?」
にやりと口端を歪めた友軍の騎兵長は愛馬に跨り、大声で手勢の指揮を執ったかと思えば、俺の返事を待たずに走り去る。
少し唖然としていたら、レヴィアの淡い呟きが背後より聞こえてきた。
「なんで、否定しないかなぁ…… イザナ様… ううん、サリエルさん案件だね」
勝手に事案化するのは止めてくれと
当然の如く、以前の戦いで投降したリグシアの騎体操縦者ら十数名も同行したいと嘆願してきたので、制式の軍刀とマスケット銃を渡してやった。
『もっと反対するかと思ったが……』
「罪なき民を護るのが騎士の在り方、
そう
どうやら喜々として
若干、呆れて乗騎の疑似眼球を
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