第123話 技師達の浪漫が詰まった武器を持たされる身になって欲しい By ディノ
偶発的にも攻防の際に相手が胸元をバックラーで
その想いを汲み取ったのか、一緒に騎体を駆るレヴィアが
『私達にできる事はしたと思う。極論だけど闘争の中で人が死ぬのは避けられないし、全てを救えるなんて独善は傲慢でしかないよ、クロード』
『あぁ、分かっている。単に “悩めるソクラテス” で在りたいだけさ』
『うぅ、また小難しい話を……』
多分、後部座席に視線を向けると、彼女の緋眼が
脳裏を過った愛らしい不満顔に微苦笑して、400~500mほど離れた都市南門の情勢に
『ご助力、感謝致します』
『お陰様で幾つかの命は拾えたみたいです』
少しの安堵を含んだ物言いに
片脚を
『またしても、終盤は傍観者だな……』
『うぅ、両腕が痛いよぅ、部分的な感覚共有の遮断とかできないのかな?』
抜き打ちで深く斬り込まれたベルフェゴールの右腕及び、有翼騎の魔導炉を破壊するため犠牲にした左腕は
滅びの
なお、領主たる御令嬢が乗った飛空艇 “
身を隠していた侍女達の有翼騎が飛び立って以降、敵勢の巨大ゴーレム達は陣頭指揮を執る二騎の “
多少の数的不利など
『… 土に還って貰うよ』
低い姿勢で疾走する双剣騎は後方へ控えていた術師型ゴーレムに弧を描くような軌道で迫り、半回転して振り抜かれた球型頭部のメイスを斜めのスライディングで躱す
そのまま滑りながら上半身を
『流石、お兄様です♪』
本日、数度目になるエレイアの称賛を受け、まんざらでもない様子の彼は乗騎を連続的にサイドステップさせる事で、地中から飛び出してきた幾本もの鉱石槍を
呼応して構えられた戦棍へ左袖口から射出した魔法銀含有のワイヤーアンカーを絡め、重心を後ろに傾けて鋼糸も巻き取れば、獲物と定めた岩人形の体勢が大きく崩れた。
対照的に一歩
『やはり、お兄様は素晴らしい……』
『ん~、最近はクロードに負け越しているけどね』
感慨深げに独白した愛妹を
旗色の悪くなってきた戦況に苛立ちつつも、無遠慮に斬り掛かってきた拙速な鹵獲騎のグラディウスへ “
籠められた魔力の残光で軌跡を描いた斬撃が
『
『…ッ、ぁ……』
『… ぅ』
致命傷を受けた準騎士達が呻き、
その直後、仲間の死に激昂した
邪魔な位置に
『軽率だな、人外ッ!!』
『ぐッ、そうとも限らん!』
一瞬の虚を狙い、左腕盾の下側を
もはや剣戟の威力は微々たるものだが、剣身片側の根本に添う
内圧による損傷拡大と
その残滓を感じ取り、改造騎ガーディアの動力制御を担う金髪灼眼の魔導士、リーゼ・フェルトが無意識のうちに少しだけ緊張を緩めた。
『初めて撃ったけど結構な貫通力ね、ディノ君』
『
所詮は浪漫兵器に過ぎないと、開発したジャックス班長達に聞かれたら
自勢力と同様にゼファルス領軍も攻勢を強めており、唯一残った岩人形達の指揮官騎をアインストが強引に討ち取って、対リグシア戦で複腕騎に敗れた汚名を返上すれば都市南門の戦いは十数分も掛からずに終息した。
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