第117話 “義を見てせざるは勇無きなり” と申します
「何ッ、市街地の中心に鈍色の浮遊多面体だと!!」
「はい、女狐殿の仕込んでいた密偵からの伝聞ですが、
僅差で戻ってきた農夫を装った斥候二人の内、後着の方が片膝を突いた姿勢で
郊外に点在している立ち木林に馬を繋いで徒歩となり、偽装の小道具かつ武器にもなる農業用フォークを片手にして、穀倉地帯で野営しているリグシア領軍の動向を
「異変を探ろうと手薄な都市防壁の西門に向かいましたら、都合よく人だかりができていたので群衆に
その時に挙動の怪しい者を見つけ、独りで離れていく背中を追い掛けて捕まえれば、ゼファルス領の出身者で女狐殿に懐柔された
非常事態なので少し
「ご苦労だった、少し休んでいろ」
「「はっ」」
短く
標準の聴覚器や
『えっと、もう大体の事情は伝わっている?』
『あぁ、このタイミングで精霊門が開いて、露骨に誘われているくらいはな』
『そうだとしても、無視は厳しいかな…… 飛空艇からだと見えるけど、
憂鬱そうな声音で心優しい御令嬢が危惧する通り、このまま放置して街道沿いの森林地帯に退避した場合、都市ライフツィヒの被害は甚大なものになるだろう。
最悪、湧き出した異形の軍勢が距離の近い帝都ベリルへ侵攻したら、ハイゼルに手勢の数騎を供与したと聞く皇統派宰相の現有戦力では、他領の援軍を待つことなく早期に陥落するかもしれない。
『結局、救援の断行をするしかないのか?』
『ん、
騎体経由の繋がりで思惑を感覚的に
『…… 隣国の衰退が
『え゛、同盟関係ってそういうものじゃないの?』
『ふふっ、
純真な赤毛の魔導士娘に便乗して、何やらニーナも砕けた
『待たせてすまない。敵主力の
「それ以外の敵種は? 小さい個体が騎体に纏わり付くと面倒なことになるぞ」
『目視ができる範囲に中型の姿はなく、小型は駐留戦力と拮抗する規模みたいだ』
現状を
予期せぬ戦いで損耗するのは
『交戦するつもりの友軍に歩調を合わせようと思うが、ゼノス団長はどう考える』
『
『全く、困った
平時と変わらぬ澄ました
勝手知ったる何とやらで、すぐに侍従兵の娘が御令嬢へ取り成してくれた。
『クロード殿、結論は出た?』
『あぁ、主副団長の同意を取った。一人は判断を義娘に丸投げしていたけどな』
『騎士国は割と民主的なのね。それはさておき、単独の戦力で救援に行くのは無謀だったから、とても助かるわ』
あざとく声に嬉しさを滲ませたニーナと取り急ぎ
大所帯なゼファルス領軍が縦列陣形を組み替える少しの合間を利用して、エルフ謹製の巨大ゴーレムについて双子達のレクチャーを皆で受け、騎士国側も簡素な準備を済ませての出陣と
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