第116話 兵は拙速を聞くも、未だ巧久しきを睹ざるなり
彼らの後方に位置する騎士国の面々も若干ではあるが、非戦闘職の
「…気に食わん、まだ一戦交える可能性は
「皆、人族同士の殺し合いなんて
不機嫌なライゼスの呟きを受け、馬身を寄せていた腹心のアルド騎兵長が自分に飛び火しないため、苦笑交じりの言葉で
「俺も好んで斬りたくないし、斬らせたい訳でもない」
「ん~、もしかして騎士国に来たの、後悔してる?」
「いや、最初に出会えたのがレヴィアだったのは
「うぅ… なんか、率直に言われたら照れるよぅ」
やや弾んだ声と連動して身体に
実際、一蓮托生の関係なので縁深いイザナの存在はあるにしても、お互い憎からず思っている事は感覚共有のせいで筒抜けだ。
(何処かで明確な態度を示す必要があるような、無いような……)
物わかりの良い伴侶の黒髪少女は気心の知れた幼馴染みならと
さらに言えば先祖代々の所領で夫の留守を護っているため、手紙でしか遣り取りのないルミアス婦人にも話を通しておくのが筋だろう。
そんな事を騎体に接続された状態で思案してしまえば、情動的な
「ふふっ、色々と真面目に考えてくれるの、凄く嬉しいかも♪」
「いつも支えて貰っているからな、
『騎士国の皆様、不測の事態です。双眼鏡持ちの観測兵が都市ライフツィヒの
『結構な数よ、クロード殿。現状の認識が足りないまま領軍を進ませるのは愚策ね。どちらかの斥候兵が帰参するまで
続けざまに話し掛けてきた領主令嬢の判断を受け、大破した愛騎のベガルタL型を戦場跡に捨て置き、後期生産のクラウソラス改良型に鞍替えしたアインストの指揮で軍勢が前方より停止していく。
後方に付けている
『赤色ですか… 嬉しくありませんけど確定ですね、兄様』
『まぁ、リグシア兵を相手にするよりも精神的な負担は少ないさ』
『うん、人を殺める怪物なら、あたしも
『頼りにさせて貰うよ、無理はしなくて良いけどね』
やや
勿論、
別に歪んだ選民思想でもないため、
『戦場に私情を持ち込むのは三流のする事、甘やかしては駄目だと思います』
『それは自身が一番分っている筈だから、追い打ちを掛ける必要はないよ』
『うぐぅ、耳に痛いお言葉……』
『ん、大丈夫、私と
『なんで帝国領の深い場所に異形どもが湧くんだ。西部戦線を突破して
『ん~、召喚魔法とかもあり得るけど相応の事前準備が必須だし、領軍の総力を以って妨害されるわよね』
かつて精霊門を潰すため大森林へ
白狐ことファル・ザゥメルの用いた手法は未発達な小結晶体を地脈が合わさる広場に仕込み、1年以上の時間を掛けて密かに成長させるというものであり、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます