第101話 たかがエルフ如きの好きにはさせない!
ゼファルス領より派遣されている教導技師達から、領主令嬢の風貌を聞かされていたらしく、いつの間にやら
「ふっ、この騎体もう、貴女の知っているベルちゃんじゃないのです」
「私の傑作品が暗黒面へ堕ちたみたいに言われてもね。何、このエルフ?」
やや苛立たしげな女狐殿を
「
「多分、
妹を後追いしてきたミアの言葉通り、整備に関わっている一部の技術者しか知らない事だが、俺達の騎体には古代エルフ族の遺物が内蔵されている。
隠れ里に眠らせていても仕方なく、
(物置小屋で千年以上も
動力制御を
一方、説明にかこつけた双子エルフの自慢を聞かされながら、大人な態度で受け流していたニーナは草地へ
「ん~、自己修復すると言っても、素体の範囲に留まるのね」
「魔導核に直接関係しないので、武装とかは対象外なのです」
「壊れた左剛腕も地道に修理するしかないのです、うぅ」
「えっと、次の戦いには間に合うんだよね?」
素朴なレヴィアの疑問に双子姉妹が眉間へ皺を寄せ、
折り畳まれた骨格部分を伸長させるバースト機構も破損しているとの事で、隠密性と機動性を優先して絞り込んだ物資では頑強な装甲も含めて、完全な修理が難しいと断言されてしまった。
「何とかならないのか、ニーナ殿?」
白兵戦に
その蠱惑的な姿に赤毛の魔導士やエルフ娘達が羨望の眼差しを向ければ、どや顔の御令嬢は嬉しそうに宣言する。
「ふふっ、こんな事もあろうかと! 試作段階でお蔵入りになった “有線式バーストナックル” を持参してきたの!!」
「はぅ、それって……」
「今度は拳が
ただ、既にニーナの心中では腕部換装が決定事項となっており、侍従兵の少女に伝言を託してゼファルス領軍の野営地へ走らせてから、出向組の技師数名と合流して左剛腕を取り外しに掛かる。
「ちょっと、ベルちゃんに何をするのです!」
「勝手に触らないでくださいッ!!」
「むぅ、この子を鍛造したのは私よ、たかがエルフ如きの好きにはさせない!」
転移時に時空の裂け目へ落ち、
「こっちの意見とか、ちっ~とも聞いてくれないんだね」
「幾つか、確認すべき事もあるんだがな」
若干、困惑気味なレヴィアと巻き込まれないよう小声で囁き合い、女狐殿と
微細な足音や歩幅、この状況下で話がありそうな人物などを踏まえ、直感で当たりを付けているに過ぎないものの、これが結構的中するため感覚自体は鋭くなっているのだろう。
「お二人とも、お疲れ様です」
「あぁ、傷は… フィーネに治療してもらったのか」
「はい、凄いですよね、
「ん、私もよく世話になってるよぅ♪」
幼馴染みが褒められて上機嫌な赤毛の少女を生暖かく見守ってから、機械油の匂いを
「騎士王陛下、
「そうだな、
「やったッ、ありがとう御座います!」
小さく拳を握り締めた年若い騎士に加え、損傷が酷い三番騎の
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