第100話 願わくば仁義ある戦いを……
野営地にそぐわない
「少し大きな声が聞こえたけれど、何か問題でも?」
「分かってて聞くなよ、満を持して出てきたんだろう」
「あら、つれないわね。物事には手順というモノがあるのよ。ねぇ、レヴィア」
「うぅ、突然こっちに振られても……」
若干の困り顔で
先程まで
「クロード殿、お困りなら私が引き取りましょうか? 例え恭順的な者達でも、強く
ちらりと
「別に構わないが、取り付く島もないぞ」
「良いわよ、自分で説得するから」
さも簡単な事のように宣言したニーナを
「時間の無駄だ、ゼファルスの女狐は噂よりも愚かしいな」
「じゃあ手っ取り早く、貴方の魔導士でも人質にさせて貰うわ」
「ッ、手段は選ばないという事か?」
「それで有能な配下が増えて、命の取り零しが減るならね」
重い溜息を吐き、為政者たる彼女は全体像を掴む目的で、敵味方問わず集計している死傷者の人数を皆に告げた。
大小様々な異形種を対象にした
それでも個々の命を軽んじる事などできないため、この場に集った騎士や兵卒らが厳しい様相となる中で、まつろわぬ捕虜を彼女の怜悧な瞳が射抜いた。
「恨むなとは言わないけど、怒りと憎しみが
「…… 闘争に関わった者の責務か、切実だな」
自身が
その面構えからは剣呑さが減じて、幾分か冷静になったようにも見える。
「貴女の進む先に大義があると?」
「
「レオナルド・ベルシュトルフだ。虜囚の立場から、見極めさせて貰う」
「じゃあ、人質の私もレオと一緒に宜しく」
どさくさに
なし崩し的に双方の合意が済んだ事でリグシアの将校こと、愚直な騎士の身柄はゼファルス領軍に移り、主命を受けた二人の準騎士に野営地まで連行されていく。
その背中を見送る騎士国側の軍門に
「こっちに移りたい人、歓迎するわよ?」
「いや、舌の根も乾かないうちに鞍替えはしたくない」
「帝国騎士の沽券に関わるので、今は遠慮させて頂く」
流石に身の置き所を二転三転させるのは不本意らしく、複数名が
「彼らは既に
「ふふっ、単なる冗談よ、ライゼス卿。それより……」
さらりと微笑で躱した彼女は不意に俺の瞳を
それに釣られて意識を引き締めれば、丁度良い機会だからと “戦争に対する見識” を詰問される。
取巻きの騎士や兵士達もいる手前、
位相が異なる並行世界の地球に迷い込んでからの経験を辿り、行き着いた先は呆れるほどに武骨だった。
「極論、問題解決の一手段だな。物事の
「つまり、
「純粋な力に
背負い立つものは重いなと、無難に
「貴国の協力に感謝します、お陰で人的損害を抑える事ができたわ」
「一応、先払いで報酬を受けているからな、もう少しだけ付き合おう」
「御礼と言ってはなんだけど、ベルフェゴールの整備を手伝わせて貰える?」
「それは有難いんだが……」
鞄持ちならぬ工具箱持ちなど従えた御令嬢を邪険にできず、双子エルフ率いる整備班が陣取った作業場へ案内するも… 燃料の魔力結晶を
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