第28話 こっちはお腹減ってるのに……
「もしかして、結構なSF好き?」
「日本の空想科学小説とか、そんな話が多いんだよ」
「それも興味があるけれど、今は続きを優先しましょう。もし、取り返しがつかない程に世界の進む方向性が変わってしまったら…… どうなると思う」
統合できない程に
「並行世界として幾つもの可能性を手繰り寄せ、別の時空連続体になるとか」
「うん、私の意見と
思えば初日にレヴィアから
「ニーナ殿、言い切れるだけの根拠はあるのか?」
「大気の
「まぁ、やるべき事は変わらない、受け入れてくれた皆の為に
「そういう
「…… 取っ掛かりになるようなモノはあるのか?」
「えぇ、貴方が持ってきてくれた精霊門の欠片、本当に感謝しているのよ」
微笑みと共に謝意を示し、彼女は残り少なくなった
それ以後は雑談も交えつつも箸を進め、彼女が膝元である中核都市に暮らす
最後に冷めたお茶を啜ってニーナと一緒に外へ出ると、待ち構えていたレヴィアからジト目で睨まれてしまう。
「遅いッ、こっちはお腹減ってるのに…… 何食べて来たんだよぅ」
「
「むぅ、なにか美味しそうな予感がする!」
「城の食堂で護衛役の食事を用意させているから、早く帰りましょうか」
空腹を訴える赤毛の少女にくすりと微笑んだ御令嬢の言葉に従い、警護役のアインストが指示を出して、裏側の勝手口を固めていた騎士達を呼び戻す。
素早い動作で路地裏から姿を現した彼らの中にはエレイアが指揮する準騎士達も混じっていた。
「撤収ですね、クロード様」
「あぁ、警護をありがとう、それにロイドにも感謝だな」
「気にしなくて良いよ、これも僕の仕事だからね」
銀髪碧眼の兄妹に軽く礼を述べている間に、双方の人員が
なお、護衛役に用意されたゼファルス領の伝統な肉料理や、卵白と牛乳を使ったパンナコッタがお気に召したようで、食堂を出る頃には
そして翌日の午後、巨大騎士ベルフェゴールとベガルタの二騎を持ち帰るため、指定した属性の魔導核に換装するまでの空き時間を利用し、俺達は同じく手持ち無沙汰だったルナヴァディス兄妹を誘って街中へ繰り出す。
当初は少女二人と妹に甘すぎる優男が連れ合いなので、多数決によりデザートを食べられるカフェテリアを物色していた筈だが…… 中央通りに並ぶ装飾品や小物を扱う店舗に好奇心旺盛なレヴィアが引き寄せられて、何故かイザナへの手土産を選ぶ羽目になっていた。
「ん~、これなんか似合いそう♪」
「では、それを……」
彼女に勧められた微細な装飾が施された金の髪飾りを購入しようとするも、横合いから覗き込んだエレイアに駄目出しをされてしまう。
「言われるが
「…… なぁ、ロイド、この黒いチョーカーはエレイアの銀髪に映えると思わないか?」
俺がおもむろに細めのベルトチョーカーを手に取り、銀髪碧眼の騎士に勧めると意図を察してくれたのか、
「そうだね、買ってみようかな」
「え、良いんですか!? お兄…… あっ」
前言を
「うぅ、ありがとう御座います」
「ん、
微笑しながら優しく頭を撫ぜるその姿に、
「結局は誰が買ってくれたかなんだね、クロード」
「何やら
ただ、そう思えば自分に自信が持てなくても選ぶことができると言うもので、迷った末にイザナに合いそうな銀細工のバングル型カフを俺も購入した。
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表紙ページ( https://kakuyomu.jp/works/1177354054893401145 )
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