第7話 初陣
満州へと帰還したのが1週間前。訓練も進んでおり、ある程度団体行動が出来るようになったくらいだ。
「少尉感謝する」
「いえ、中尉殿の面倒事に比べれば私は大したことはしていません。」
加藤大隊長から送られてきた教官代行の少尉に謝意を示し、かなりしごかれたのであろう、頬が少し痩けてはいるがマシな目をする様になった馬鹿共を見渡す。
「敬礼!」
訓練教官の隊付の軍曹が声を張り上げると一斉に敬礼する。それに答礼し口を開いた。
「…少しはマシ顔をする様になったか。少なくとも団体行動の出来る中学生並にはなれたらしい。本日から行われるのは国境部での警戒演習だ。」
ロシア帝国とソ連の国境部に進出し未だ小競り合いを続ける前線で浸透してくる敵部隊を眺めつつ、本職に守られ空気を味わう為の演習だ。
「無論、貴様らの知るように実戦だ。ある者は地に倒れ、またある者は二度と生きて皇土を踏む事は無い。」
一斉に顔が固く青ざめる。が、数名全く変化の無いものも存在する。
「高倉葵候補生、貴様は何の気負いも無いようだな?」
「…私の成すべき事はただ1つ。赤共への復讐です。」
「ふむ…確か貴様は赤軍派のテロによって両親を失っていたのだったな。高倉小隊、待機せよ。本拠点防衛任務を命じる。」
3個小隊18機から構成される戦闘部隊達は一個小隊6機からなる。高倉は大柳、佐伯に次いで優秀な隊員である。
「…中隊長殿の申される事は分かります。ですが、それでもご再考を。」
「却下だ。勝手に飛び出しかねん人間を前線の警戒任務に出せるか。」
「…了解しました。熱戦となれば必ず。」
「ならないのが良いのだがな。考慮しよう。」
考えるだけだが。自制の効く分マシではある。幼い頃に赤共のテロで両親を目の前で殺されたんだ傑物とも評せるだろう。何故コレを軍に入れたのか採用した人間を問い詰めたいところではあるが。
「詳細はそれぞれデバイスを参照しろ。」
†
ロシア帝国-ソビエト社会主義共和国連邦国境部。戦後以来続く冷戦の最前線の1つとして長きに渡る小戦闘の舞台。曇天と荒涼の大地、砲弾に耕され所々に窪みが見える。
「こちら、バーレイグより
「あ、アルファ01。視界良好、敵影見えず」
「
「アルファ02同じく良好。敵影見えず。」
珍しい。どの拠点にも必ず1度の襲撃はある。幾ら危険性の低い監視拠点に拠ると言ってもゼロなわけが無い。
「両小隊、警戒レベルを2から3へ上げる。接近する所属不明機全てに警告砲撃後、応答無くば撃破せよ。」
「「了解」」
中隊司令部付として、B中隊から第三小隊を借り受けている。
「本部付き各位、支援に迎えるよう準備し給え。
「
「ワイバーン・リーダー了解。バーレイグ中隊の指揮下に入る。」
『CPよりバーレイグ中隊、中隊規模所属部隊接近。対処せよ。』
「了解、警告後回答のない場合撃退する。中隊各位、応戦用意!」
お客様がやっとおいでだ。
「応答セヨ、コチラロシア帝国軍所属装甲部隊。所属ヲ開示セヨ。」
機影を確認しオープン・クローズド両回線から通信を試みるも返答は無し。
「バーレイグより部隊各位、ボギーをバンディットと断定。砲撃開始!」
既に合わされていた照準は正確に走行中の敵部隊を撃ち抜き、2機が脱落した。敵先頭の2機がスモークを展開し、撹乱されるもワイバーン中隊が側面に展開、十字砲火により、数機を撃破する。
「敵部隊長機と思しき機体撃破!」
ワイバーン01からの無線通信。バーレイグ01と02の小隊も数機の戦果を上げる。
それはつまり、壊滅的は被害を与えたという事。敵も
ここで本部付も動かし残りを精密狙撃でコックピット毎貫通。撃破した。
「補給せよ。監視任務に戻る。」
初めてにしては上出来だ。馬鹿だが、基礎スペックは低くく無いのが腹が立つがな。
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