第15章「世界に関わる者」その12



単純にカッコいいと思った。


言葉もそうだが、そんなカッコいいことをまだ出会って数時間の奴に言える胆力にも驚愕している。


「提案なんだけど、ここは二手に別れて聞き込みしないか?」


一組の教室を出て廊下で話し合っていた。


自分でも何でこんな提案をしたか分からない、やる気が出てきたのかもしれない。


「確かにそちらの方が効率がいいですね」


東海は納得してくれたようだった。


「ただこれには一つ問題点があります」


「どんな?」


「あなたがサボるかもしれないということなのです」


「なんでやねん」


思わず関西弁で突っ込んでしまった。


というか、まだ信用されていなかったのか。


「大丈夫さ、一度引き受けたんだ。ちゃんと最後まで付き合うよ」


彼女は僕の顔を見ながらあごに手を当てて、考えているようだった。


「わかりました。では、私は二組から順に聞いてきます。そして十三時になったら六組の教室で集合しましょう」


「わかった。じゃあ僕は文化部の出し物を見てくるよ」


そして僕らは二手に分かれて階段を上がり、美術部に向かった。


着くと美術部の扉は開いており、中に入るといつも置いている古びた木製の長い机と椅子が無くなっていた。


その代わりにキャスターのついた展示パネルがいくつも置いていてたくさんの絵が貼られていた。


「羽塚じゃん、どうしたの?」


何となく絵を見ていると、声をかけられた。



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