第4章「異常の中の普通」その4


ニュースの世界はいつも実感が湧かない。


誰かが殺されたとか、芸能人が不倫とか、ある国がミサイルを撃ったとか、


子供の頃はそれを見て少し興奮したけど、今はない。


だって世界のどこかで凄いことが起きようと、僕の目で視えるものではないのだから。


そう思えば、正直ニュースなんていらないかもしれない。


見たところで、備えられるわけでもないし。


また頭の中で思考を飛び回してニュースをついて考えていると、


昨日、東京の高校生男子ら計2人が


マンションの屋上から飛び降り、死亡した事件を思い出した。


警察は自殺の可能性が高いとして、詳細を調べているとのことだそうだ。


...よく自殺については議論がとんでいる。


命を粗末にするな、生きることは素晴らしい、


だの一体誰が言ったのか分からない言葉を投げかけて、自殺を止める。


しかし、そんな軽いことを言っていいのだろうか?


もちろん、自殺することが正しいとは思わないけど、


彼らには自ら無くなるほどの事情があり、覚悟があった。


それを一概に否定していいのか?


僕らはいつも決めつけたがる。


鑑賞し、評価し、評論する。


しかし、評価を超えた、善悪を超えた事柄だっていっぱいある。


それを評価してしまえば、きっとその評価に怯えて暮らさねばならなくなる。


皆というものは恐ろしい。


皆が、左に進めば、なぜか左のほうが安心する。


右に立ち入り禁止と書いてあれば、なぜか怖くて、入れなくなる。


その立ち入り禁止は誰が書いたのかも知らないのに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る