第4章「異常の中の普通」その3


その課題は最近見たニュースの中から気になるものを感想にして、


400字の原稿用紙2枚程度書けとのことだ。


さすがは山寺、あの平木を叱れるだけあって、


こういう事態にも抜け目ない。


この課題は今日中に提出らしく、


提出しなかった者には後でさらなる課題が待っているそうだ。


最初はざわついていた教室も今は静まり返り、


みんな、この課題を終わらせることで必死らしい。




高みの見物のように解説している僕だが心はいつもより焦っていた。


それは課題に対してだけではなかった。


右隣の席、平木尊だ。


まだ定期テストが始まっていないので、本当かどうかは分からないが


どうやらこの少女は相当な秀才らしく、同じ中学からの奴の報告によると、


定期テスト、中間テストともに学年十番以内には入るほどの実力者だそうだ。


そのせいなのかどうかは分からないが、


今日の課題も配られてから二十分程度でペンを置き、


今はまたいつものように本を読んでいる。


まったく、スポーツテストの50mで足の速い奴と走らされるような気分だ。


ダメだ、ダメだ、さっさと課題にとりかかろう。


僕は利き手でペンを回しながら、ニュースについて考え始めた。

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