第1章「平木尊」その6

しかし二週目に突入した頃には、


その虚像への心配も徐々に薄れ、自分の置かれている現状の危うさに直面していた。



ボッチなのだ。もう一度言おう。僕はボッチなのだ。


まずい…。


これは一人が寂しいとかじゃない(いや、寂しいのもある)、


学校生活を送る上で必要な情報がいろいろ不便になる。



僕はボッチを回避するため、勇気を振り絞って、ぱっと見て自分に似たタイプに話しかけ始めた。



なぜか人間は教わらなくても自分と同じタイプの人間を見極めることが出来る。



今では、学校で会えば、


世間話を話し合えるほどの関係の男友達は何人か出来た。


しかし、出遅れた感は否めない。


そりゃそうだ。



僕がそいつらに話しかけるようになったのは、入学式を終えて二週間もたった後のことなのだから。


そのせいか自分から話しかけないと、男友達は寄ってこない。


向こうからこちらにくることは、あまりない。



まぁ、最初はこんなもんか。



とりあえず、話しかける奴が出来ただけでも良しとしよう。

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