第1章「平木尊」その4

なぜ僕がここまで、彼女の座席を意識するのかというと、


僕の席は窓際の最後列なので、授業中に話す相手が右隣の座席の人しかいなかったからだ。


いやもっと詳しくいうと、入学式の日は僕も平木もこの席じゃなかった。



ふつう学生はクラスが決まれば、名前があいうえお順に並べられる。


これは小中高全ての学校に当てはまることだと思う。


僕の苗字は羽塚。は、だ。



窓側の左から順なので、廊下側から2列目の前から3番目の位置にいた。



そして僕の後ろが平木だった。



しかし今回1年3組の担任になった


秋山先生はなぜか名前順の並び方がワンパターンで嫌いらしく、入学式の次の日から席替えをしたのだ。


それでこの席になったのだ。


最初は嬉しかった。


なぜって?


最後列は教師やクラスメイトの目線が集中しないから、のんびりと授業に臨める。



それに、窓側なら外の景色を見ながら勉強出来る。

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