第3話 喫茶 水藻


(確かに、口の悪いと言えば、あいつしか思い出さない。)

「私は、口の悪いあんたが、昔から大嫌いなの。みんなの前で、もう話しかけないで」と、私としては思い切って勇気をだして思い切りにらんだ。

身長差があって、思い切り、首を上の方に向け目を合わせる。

「俺は昔からおまえのことが気になって仕方がない。だから、今から家に連れていく。」

なっなっ もう、目立ちたくないという思いが、このセリフで火に油を注いだ。二人の行動は、皆の注目を浴びた。なかには、口にこそ出さないが

地味で目立たない女に

突然現れたカッコいい男をとられたという心情?

悔しがる女もいた。

そこは正直ざまぁみろと思った。

男子は男子で、ひゅひゅーとか、煽る

完全にこの騒ぎを楽しんでる。

私の気持ちも知らないで



その騒ぎの中を、今度は私がかれの腕をとって、真っ赤な顔でうつむきながら校門を急ぎ足で歩く。


「俺んち喫茶店で、バイト募集してるんだけど、何かやってる?」なんなの?そういうこと。でも、皆の前で思わせ振りに接近して言うこと?

唐突に聞かれて

「バイトかあ。うらやましいけど、勇気もないし、働くって大変そうだし。」

根性なしだなあ。

「これから、俺とのデート代いるだろ」

「はあー、どういうこと?」まったく、言いたいことをズバズバいうやつだ。


結局、彼の家に行くことになった。私って優柔不断だわ。途中で、近況報告を話し合う。

お母さんは、再婚して今は喫茶店のマスターと再婚したこと。

そういえば、あの当時政治家の愛人って噂があった。子供でも、耳に入ったぐらいだから、超有名な噂。


喫茶「水藻」

ここだよ。の声に、洒落たオープンハウスの建物の裏口を開けて、彼について入っていく。

「ただいまー」

キッチンの裏口に通じていた。で迎えてくれたのは、マスターだろうか。水藻と書かれた黒いエプロンをして、忙しそうにサンドイッチを作っている。


「おかえり、どうだった。学校は ? もう彼女つれてきたの。えっと、よろしくね。武はアマノジャクだけど優しいところあるから。あっ、僕この店のマスターで、こいつの義父さんです。よろしくね。」中肉中背で、引き締まった体つき。顔や、声から優しい雰囲気を、醸し出している。

へー。この人が、お義父さんかあ。若い印象から、兄弟みたい。

「こいつ、クラスメート。昔の顔なじみ。で、バイトやりたいっていうからつれてきた。」


「よ、よろしくお願いします、ち、違うでしょ。あんたが、つれてきたんじゃない。バイトも、誘ったのはアンタでしょ」つい、大きい声がでてしまった。

「元気なお嬢さんだね。喫茶の方でしょ。やりたいの」口元が、ゆるみ笑みがでる。

えっ、他にあるの?

「こいつから、聞いてない?うちは、2階に便利屋も開いているから。そこも、人でがほしいんだよね」

便利屋って、なんだかおもしろそう。

「どういうこと、するんですか?」目がおじさんの口元に釘付けになる。


「お客まってるんだろ。サンドイッチ。俺が、話しとくから。2階にお袋いるんだろう。」武に言葉を遮られて、おじさんは慌ててサンドイッチを盛り付ける。


2階に上がっていくと、ソファーと机が、置いてある。角には事務机があり整えられた本や、筆記具がある。そこには、女の人が座っていた。今でも、思いだす綺麗な女の人

「ただいまー。お袋、クラスメイト、連れてきた。」

「おかえりー。今日、転校初日だったんじゃない?もう、彼女できたの。しかも、家に連れてくるなんて、初めてじゃない。」

(おじさんも、同じようなこと言ってたなあ。て、ことは彼女いないんだあ。いや、何意識してるの。私ったら。)

椅子から、立って私に視線を向けると、あれって感じになる。

「昔、隣に住んでいた。里香です。」と、いうとああという表情になる。

やっぱり、私ってちっとも変ってないのね。情けない。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る