キャラクター資料 レビ(ニーナ)

イラスト https://www.pixiv.net/artworks/100322544


 名前の由来は旧約聖書のレビ記から。旧約聖書では神と人の関係は主人としもべであり、ヤコブの三男のレビを祖とするレビ族は神と人を結び付ける祭祀を執り行っていた。アダムとイブの時代とは違い、穢れた人は供物をささげること、つまり祭祀を行うことで神との繋がりを得ることができるとしている。本作では親友を裏切り妹の立場を手に入れたレビを欲により穢れてしまった人の代表として描いている。ただし欲と後悔の板挟みになる彼女の存在は、幼くまっすぐにしか生きられない少年少女よりも人間らしいものである。

 また祭祀の役割として、レビには神に戦いを挑むバルアダンとダレトの補助を担当している。また月での戦いでは、獣欲(人の欲望)を肉体に宿らせたバルアダンに、ダレトが止めを刺す場面の立会人として描いている。

 神話のレビヤタンとの名の関係性も持つ。ヤム神の別称、または従者としての存在である蛇という説からはヤムとの家族との関連性を、女神アナトが討伐した蛇という説からは、本来の妹の座を奪ったレビに対するダレトの複雑な気持ちとの関連性を持たせている。



人物紹介


 貧民街の少女。長老ヤムに拾われて育つ。当時のヤムは歴史を変えるべく動いていた観測者オグドアドの座長として暗躍していたが、レビは彼の荒んだ心の拠り所となった。貧民街での生活は、崩れかけながらも家があったり、ヤムの知識(主に医療)の恩恵を受けた住民によって多少の食料や衣服を分け与えられていたりしたため、最低限の生活は出来た。ウェルやミキトなど、廃墟に子供だけで育った者からすれば、恵まれていると白い目で見られている。そのため同世代の友人は少なく、ヤムや年配の住人との関りが大きかった。このことは、ヤムを失い、家と家族を失ったレビがダレトに惹かれ、家族として彼を求めることに繋がっていく。

 ダレトの妹分としての立場を得ようとするものの、友人であるサリーヌが本来の妹と知り、深く悩む。ダレトがアサグをその自爆で葬ろうとしたとき、駆け寄って心中を図ったのも、サリーヌに対し妹と伝えられず、一人ぼっちとなるダレトへの共感、そして共に死ぬことでサリーヌから妹の立場を奪い取ろうとするものだった。ダレトの許へ駆け寄る寸前に、サリーヌに謝罪しているのはこのことを指し示している。

 ヤムにより一命をとりとめた後、同じく助かったが記憶を失ったダレト(アナト)に妹のニーナとして接触、共に過ごすようになる。本人は幸せであったのだが、サリーヌへの負い目から日々自分を責めるようになる。妹を演じるのではなく、自分も記憶を失って心からアナトの妹になっていればと涙を流していた。気落ちする妹をアナトは慰めるのだが、そのたびにニーナは喜びと後悔を受け魂が傷ついていった。

 神獣騎士団時代のニーナは、兄の側に居続けるためフェルネスの部下のエドナの特訓を受けていた。またヤムから命を助けられた折り、月の祝福を少し受け継いでいたため祝福者や魔人との戦いについてこられるまで成長する。バルアダンやサリーヌとの再会、そしてアナトが再びバルアダンと友誼を結んだこと、サリーヌと和解したことで妹ではなく女性としてアナトを意識し始める。バルアダンとサリーヌの婚姻を期にその想いは強くなるが、肝心のアナトが彼女を大切に思うあまりに、愛情と信頼はともかく仲は進展しなかった。

 物語の終盤、月の沙場での戦いで親友バルアダンに止めを刺したダレト(アナト)はしばらくの間、公務は行うものの虚脱した日々を過ごしていた。レビ(ニーナ)は彼に献身的に寄り添い、励ましていくことで立ち直らせることに成功する。そして彼女はウェルやミキト、ザハグリムと共に貧民街を普通の街として復興させ、また孤児や貧しい家庭の子供達を集め学校を建設した。ダレトと共に教師として子供達を育てているのは、彼が自他ともに幸せに生きているという光景を月にいるバルアダンやサリーヌに見せるためである。


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